文化庁委託の人材育成講座

「外国人を取り巻く労働問題」を

実施いたしました。(後援:HICE)

 

講師で弁護士の高貝先生はじめ、

ご参加いただきました皆様、

どうもありがとうございました。

6.27,1 

先生には

・労働法の基礎知識

・新型コロナの影響によ相談事例

・労働問題と日本語(司法通訳の実際)

 

についてお話いただきました。

 

とくに「生活者としての外国人」にとって、

「労働法」に目を向けることは重要で、

 

現在300万人近くいる外国人のうち約半数は

働くために来日していること。

 

留学生については約9割が

コンビニをはじめとするバイトをしていること。

 

そうした背景から、

労働法と「生活者としての外国人」は

切り離せないものであることが

よくわかりました。

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ちなみに日本の場合、

労働法は案外キッチリと制定されているんだけど、

 

法律の存在を知らなかったり、

難しくて分からなかったり…

 

もっと困るのは、

権利として法律が存在しているのに、

企業の慣習として制度を使いづらいケースもある

ということでした。

 

たとえば、始業時刻は8:30なのに、

新入社員だから8:00前には行って、

掃除をしておかなければならないとか(><)

 

このような経験をされたことがある方、

いらっしゃるのではないでしょうか。

 

外国人にはこうした不条理なことが

押し付けられやすく、

 

だからこそ、労働法を本人や支援者が

少しでも理解して機能する法律となるように、

声を掛け合っていくことは大事なのですね。

 

先生からは労働法の文言(原文)と本来の解釈、

そして起きやすい問題…

 

具体例を挙げながら、ご説明いただきました。

 

今日の参加者は

日ごろ、外国人に身近な日本語教育の関係者や

行政職員、議員さんたちが中心でしたので、

 

講座でお聞きした事例は

「似たようなケースを聞いたことがある」

ということで腑に落ちた、わかりやすかった

のではないかと思います。

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また、法の解釈については

「なぜその法律が存在しているのか」

を先生がご説明くださったことで、

 

労働法をより意味のあるものとして

捉えることができました。

 

最低賃金や有給休暇、残業、

休日労働の定めなどは、

 

労働者が文化的な生活を送るために

最低限必要である

ということもよくわかりました。

 

さらに年金保険のところでは、

「年金加入させない会社」もあるけど、

 

定住・永住者たちのほうもこれまで

「年金加入したくない」と言ってきた

という実態も少なからずあり、

 

それが今、中高年にさしかかり、

大変な思いをしている人もいるということでした。

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今後、ますます増えていく外国人に対して、

そしておそらく長く日本に住むことも考えて、

 

当法人としても、

年金と保険のセット加入については

理解を深められるような機会を

作っていきたいと思います。

 

さて、新型コロナウィルスの影響で

寄せられていた相談ですが、

その内容から、

 

感染が徐々に拡大を始めた1月から今月まで、

どんどんフェーズが変わったこと感じました。

 

主に、 

3月~4月 感染の心配

4月~5月 雇用の心配

5月がピーク 生活資金の心配

5月がピーク 給付金(制度利用方法) 

 

…確かに当法人の心配も

月単位で変動していたと記憶しています。

 

今後も生活するうえで、

様々な心配、ご相談が寄せられるものと思います。

 

連携体制をきっちり取っていきたいです。

 

ところで、

本日の講座で大事なメッセージが2つありました。

 

★外国人に身近な存在である日本語教室は、

 「生活者としての外国人」に寄り添える

 存在であること。

 私たちが法律に関する

 基礎的な知識を持っていると、

 深刻な相談に至る前に抑止となったり、

 未然に防げたりする可能性があること。

 

★言葉を学ぶということは文化的背景も身に着ける

 ということなので、

 コミュニケーションの壁を

 低くする可能性があること。

 そうした場を提供できる日本語教室が担う役目は

 とても大きい存在であること。

 

ということでした。

 

講座の最後に拍手が沸き起こり、

温かく外国人を受け入れる体制があることを

大変うれしく思いました。

6.27,2

 

また、みなさんと知識や情報をシェアできるような

講座の企画に努めたいと思います。

 

改めまして、

高貝先生、ご参加いただきました皆様、

どうもありがとうございました。