本日は、公開講座を実施しました。

 

講師は、

神奈川県教育委員会指導主事の成田潤也先生です。

【8月22日】ちらし市教委「あり」JPEG

おかげさまをもちまして、

全国(海外)からも多くの教員、日本語教師の

方々にご聴講いただきました。

 

こうした皆さまにご参加いただきましたことで、

 

学校現場における外国語教育と、

外国にルーツを持つ子供たちへの日本語教育が

講座タイトルの通り「融合」 ということを

考える場になったのではないかと思っています。

 

さて、本日のお写真を紹介します。

mmhmmというアプリ機能を使った、

成田先生のライブ感ある画像とともに

ご覧ください。

 

本講座は成田先生の「実践」による裏付けが、

ぎっしり詰まったご研究を中心にお聞きしました。

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機械翻訳が当たり前の時代に、

学校では「英語」を中心とした

外国語教育が行われている。

 

でも、子供たちがもしこんな質問をしてきたら?

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みなさんは大人として、

どのように答えるでしょうか。

 

責任をもって、

真摯に子供たちに答えてあげることができますか。

(;・∀・)

国の未来と小学校の未来

う~ん…

国が示した将来像と学校現場が目指す方向性って、

一見、違うように見えるけど?!

 

そんな中で先生が持っていらした研究課題、 

「機械翻訳は児童の外国語学習の意欲を減じるかどうか」

研究課題

 

先生は、「そうでもない」と仮説を立てて、

研究に向き合ったそうですが、

その研究を裏付けるためのプロセスが大変面白く、

結果も興味深いものでした。

 

実践1、成果物ラップブックまでの一連の流れ 修学旅行にポケトーク持参

とにかくポケトークに慣れ親しむという活動では、

ポケトークの機能を通じて、

英語のほかにも言語があることを知った

という子もいたそうです。

 

子供たちに刺激を与え、

内から沸き起こる学習意欲を引き出す

成田先生の授業のアイディア、工夫に

脱帽です。

 

こうして生徒たちが活動を通じて

書きまとめた感想からは、

体感が学びにつながったことがよくわかります。

ラップブック 生徒気づき

 

子供たちがポケトークを使って感じたことを

ラップブックにまとめる。

 

ラップブックは子供たちにとって、

体験を通して作成した

オリジナルの機械翻訳マニュアルになる♪

 

という成果物を、

子供たちに残すことができたそうです。

 

そして…

 

「機械翻訳とやさしい日本語の親和性」

という中で、

最近よく言われるようになった入力のコツと、

 

子供たちの作成したラップブックに

書き留められた感想や気づきの数々が、

 

見事に一致していたというのは驚きです!

やさしい日本語と機械翻訳の親和性

 

子供たちは機械翻訳を使い

コミュニケーションとして成立した時のこと、

しなかった時のことを分析し、

 

機械翻訳というものを

どのように使ったらいいかということを、

体得していたのですね。

機械翻訳を使うときの気づき

 

もっと興味深いのは、

こうして機械翻訳を使えるようになったあと、

「外国語教育はあったほうがいいか?なくてもいいか?」を

 

成田先生はあえて、生徒に聞いたそうです。

外国語必要ある?

 

多くの子は

「外国語学習は必要である」と答えたそうですが、

 その子供たちの理由が実に面白い^^

 

ポケトークは言い方の手本ではあるけれど、

コミュニケ―ションの手本ではないと思います。

コミュニケーションを学ぶことができる

外国語は必要だと思います。

 

なるほど~

 

というわけで、

ここまでは日本人の子供たちの気づきの話。

 

一方で、外国にルーツを持つ子供たちはというと、

すでにこんな取組をされている学校があるそうですよ。

 

①「UDトーク」を使って、

在籍クラスで

日本の子供といっしょに授業を受けられる例

UD 

この例は、日本語教師の先生方が

「お~」ってなりました。

(チャットへの書き込みが大変活発でした)

 

②テスト問題に「Google翻訳」を使っている例

グーグル翻訳テスト

これも、学校教育現場においては

画期的ですね。

 

ちなみにこの児童は

翻訳機を使って問題を理解していますが、

書くときは日本語で回答しています。

(選択式問題)。

 

③休憩中に「スマイリンガル」を使って交流

住まいリンガル

日本の子供は自分の話す日本語が

きちんと翻訳されるような日本語で話すことに努め、

 

外国にルーツを持つ子供のほうは、

自分の知っている単語(日本語)で、

一生懸命答えています。

 

・・・

 

あっという間に時間がたってしまい、

実に大切なメッセージが

散りばめられていた講座でした。

 

ここで、本講座のキー部分です。

小学校教育のこれから

 

先生が最後におっしゃったのは、

「困っている人に適切なメガネを渡してあげられる人になること」です。

 

機械翻訳も「メガネ」のようなもので、

視力が弱い人に「がんばって見なさい」

という態度をとるのか、

 

よく見えるメガネを取って、渡してあげるのか。

 

このとき、参加者のzoomの反応は

「いいね」「拍手」「クラッカー!」の嵐。

 

そして直接画面越しで拍手していた方、

チャットに「賛同」と書き込みしてくださった方も。

 

あっという間に共感してくださった方で、

いっぱいになりました。

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講座後は時間の許す限り、

残ってくださった方々とも意見交換をしました。

 

日本人でも外国にルーツを持つ子供であっても、

同じ日本で大きくなっていく

子供たちを支えるためのネットワークづくり、

 

そこから教育体制に必要な追加事項を、

声として上げていく必要がある、

 

そのようなご意見も頂戴しました。

境先生 nagatasensei

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++++++++++++++++++++

なお、講座の中では急なことでしたが、

ご著書がある次のお二方にも、

ご見解を頂戴しました。

 

光栄です。

どうもありがとうございました。

 

★平高史也先生

平高先生

「多言語主義社会に向けて」くろしお出版より

https://www.9640.jp/nihongo/ja/detail/?740

 

★吉開章さん

吉開さん

入門・やさしい日本語 アスク出版

https://www.ask-books.com/978-4-86639-352-0/

 

・・・・・

 ※本日の様子は、後日動画配信します。

 

 

―そのほか、本日の関連情報-

やさ日ライブ

神奈川県・外国につながりのある児童・生徒への指導・支援(改訂版)