本日は、公開講座を実施しました。
講師は、
神奈川県教育委員会指導主事の成田潤也先生です。
おかげさまをもちまして、
全国(海外)からも多くの教員、日本語教師の
方々にご聴講いただきました。
こうした皆さまにご参加いただきましたことで、
学校現場における外国語教育と、
外国にルーツを持つ子供たちへの日本語教育が
講座タイトルの通り「融合」 ということを
考える場になったのではないかと思っています。
さて、本日のお写真を紹介します。
mmhmmというアプリ機能を使った、
成田先生のライブ感ある画像とともに
ご覧ください。
本講座は成田先生の「実践」による裏付けが、
ぎっしり詰まったご研究を中心にお聞きしました。
機械翻訳が当たり前の時代に、
学校では「英語」を中心とした
外国語教育が行われている。
でも、子供たちがもしこんな質問をしてきたら?
みなさんは大人として、
どのように答えるでしょうか。
責任をもって、
真摯に子供たちに答えてあげることができますか。
(;・∀・)
う~ん…
国が示した将来像と学校現場が目指す方向性って、
一見、違うように見えるけど?!
そんな中で先生が持っていらした研究課題、
「機械翻訳は児童の外国語学習の意欲を減じるかどうか」
先生は、「そうでもない」と仮説を立てて、
研究に向き合ったそうですが、
その研究を裏付けるためのプロセスが大変面白く、
結果も興味深いものでした。
とにかくポケトークに慣れ親しむという活動では、
ポケトークの機能を通じて、
英語のほかにも言語があることを知った
という子もいたそうです。
子供たちに刺激を与え、
内から沸き起こる学習意欲を引き出す
成田先生の授業のアイディア、工夫に
脱帽です。
こうして生徒たちが活動を通じて
書きまとめた感想からは、
体感が学びにつながったことがよくわかります。
子供たちがポケトークを使って感じたことを
ラップブックにまとめる。
ラップブックは子供たちにとって、
体験を通して作成した
オリジナルの機械翻訳マニュアルになる♪
という成果物を、
子供たちに残すことができたそうです。
そして…
「機械翻訳とやさしい日本語の親和性」
という中で、
最近よく言われるようになった入力のコツと、
子供たちの作成したラップブックに
書き留められた感想や気づきの数々が、
見事に一致していたというのは驚きです!
子供たちは機械翻訳を使い
コミュニケーションとして成立した時のこと、
しなかった時のことを分析し、
機械翻訳というものを
どのように使ったらいいかということを、
体得していたのですね。
もっと興味深いのは、
こうして機械翻訳を使えるようになったあと、
「外国語教育はあったほうがいいか?なくてもいいか?」を
成田先生はあえて、生徒に聞いたそうです。
多くの子は
「外国語学習は必要である」と答えたそうですが、
その子供たちの理由が実に面白い^^
ポケトークは言い方の手本ではあるけれど、
コミュニケ―ションの手本ではないと思います。
コミュニケーションを学ぶことができる
外国語は必要だと思います。
なるほど~
というわけで、
ここまでは日本人の子供たちの気づきの話。
一方で、外国にルーツを持つ子供たちはというと、
すでにこんな取組をされている学校があるそうですよ。
①「UDトーク」を使って、
在籍クラスで
日本の子供といっしょに授業を受けられる例
この例は、日本語教師の先生方が
「お~」ってなりました。
(チャットへの書き込みが大変活発でした)
②テスト問題に「Google翻訳」を使っている例
これも、学校教育現場においては
画期的ですね。
ちなみにこの児童は
翻訳機を使って問題を理解していますが、
書くときは日本語で回答しています。
(選択式問題)。
③休憩中に「スマイリンガル」を使って交流
日本の子供は自分の話す日本語が
きちんと翻訳されるような日本語で話すことに努め、
外国にルーツを持つ子供のほうは、
自分の知っている単語(日本語)で、
一生懸命答えています。
・・・
あっという間に時間がたってしまい、
実に大切なメッセージが
散りばめられていた講座でした。
ここで、本講座のキー部分です。
先生が最後におっしゃったのは、
「困っている人に適切なメガネを渡してあげられる人になること」です。
機械翻訳も「メガネ」のようなもので、
視力が弱い人に「がんばって見なさい」
という態度をとるのか、
よく見えるメガネを取って、渡してあげるのか。
このとき、参加者のzoomの反応は
「いいね」「拍手」「クラッカー!」の嵐。
そして直接画面越しで拍手していた方、
チャットに「賛同」と書き込みしてくださった方も。
あっという間に共感してくださった方で、
いっぱいになりました。
講座後は時間の許す限り、
残ってくださった方々とも意見交換をしました。
日本人でも外国にルーツを持つ子供であっても、
同じ日本で大きくなっていく
子供たちを支えるためのネットワークづくり、
そこから教育体制に必要な追加事項を、
声として上げていく必要がある、
そのようなご意見も頂戴しました。
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なお、講座の中では急なことでしたが、
ご著書がある次のお二方にも、
ご見解を頂戴しました。
光栄です。
どうもありがとうございました。
★平高史也先生
「多言語主義社会に向けて」くろしお出版より
https://www.9640.jp/nihongo/ja/detail/?740
★吉開章さん
入門・やさしい日本語 アスク出版
https://www.ask-books.com/978-4-86639-352-0/
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※本日の様子は、後日動画配信します。
―そのほか、本日の関連情報-