4月18日(土)今日は、事務局とボランティアさんたちとともに以下のことを話し合いました。

その中から主に「ハロハロ教室について」取りあげます。

1、昨年度の教室を振り返って、日頃の活動に対するご意見や疑問、悩みを共有

2、事務局の意向、事業の目指しているところ

 

どんな内容だったか、一部ご紹介いたします。

 

<事務局より>

ハロハロクラスは、財団法人浜松国際交流協会(HICE)より委託を受けており、

浜松市内に通うフィリピンにルーツを持つ小中学生のための学習支援を行っています。

①初期適応支援

来日して間もない子どもに対して、日本の学校に慣れるため、母語で学校のルールや習慣、日本語などを教えています。

②寄り添う教室

①を終了してもなお、学校の授業についていけない子どもには「わからない宿題を持ってくるように」と言っています。

 

<ボランティアさんたちより>

●このクラスに通う生徒の習熟度や興味にバラツキがありすぎて、支援が難しい。

→同じように活動している他の団体から、ボランティアが事例を学ぶ機会が欲しい。

●学校の宿題は、日本語ができないと難しいと思われる。

→漢字が読めないと「自習」「1人で宿題をする」ということは出来ない。

●書き取りについて。

→「ただ書いている状態」から「興味を持って書く」「覚えるために書く」という意識へ持っていきたい。

●支援する上で、子どもたちとコミュニケーションするのに役立つ簡単なタガログ語を覚えたい。

●学校では国語の授業で「音読」がある

→学校によっては「外国の子だから、教科書は読めないだろう」と担任が判断し、暗黙で順番を飛ばすことがある。その順番を飛ばされた子どもの心境、不安は計り知れないものがある。ハロハロクラスでは、音読も取り上げてほしい。

→事務局でも、国語と算数くらいの教科書は用意しておく必要がある。

●宿題や子どもの教育については「保護者次第」ということを感じる。家庭環境は大きく、子どもたちはハロハロクラスよりも圧倒的に家で過ごす時間が長い。このクラスで子どもたちに支援しても、保護者の考え方や子どもの学習への関心度に影響されてしまう。

→事務局で、保護者へのアクション、啓発が必要ではないか。

→「バヤニハン日本語教室」も活用して対応していく。

●このクラスに関わって7年目になるが、自分が支援を始めた頃は「教えすぎ」ということがあった。たとえば「上」の漢字を教えたら「上というのは、“うえ”とも読むし、“あがる”とも読むし、“じょう”とも読むよ」と教えてしまう。けれども子どもにとってそれは負担であり、一度に覚えられないので意味がない。それよりは必要なことを一つだけ教えて、あとは子どもに話をさせて、自分は話し相手になることをしている。その話を聞きながら、時折必要なことを教えていったり、興味のありそうなところを伸ばすやり方を心がけている。

●「宿題を持ってきてください」というだけでは、このクラス2時間はもたない。低学年の子どもの宿題は1時間もあれば、宿題は十分終えてしまう。

→宿題以外の別のメニューも用意しておく必要がある。そのメニューは学校の単元に縛られるものではなく、「これから日本で生活する上で必要なこと」「学校生活を送る上で必要なこと」としている。たとえば、「“時代には流れがある”ということを知っていれば、もしかして中学校へ上がってから歴史の授業に興味を持ってくれるかもしれない」「地図を見て、県名を覚えれば日本の土地や天気予報に興味を持ってくれるかもしれない」ということを考えている。このハロハロクラスを、日本で生きていく力を身につけるための時間とも捉えている。

●日本語が話せる子どもでも、「そのことを日本語で書いてみて」と言ったとたん書けない子どもがいる。書く力への指導の工夫は必要だと思う。

●フィリピンの学校では「掃除をする」ということがない。日本の学校は「掃除をする」ということにも意味があり、掃除の仕方にも効率がいいやり方を実践で教えている。(掃除の時間がある)いっぽう、掃除をするという教育を受けていないフィリピンの子どもは「掃除の手順がわからない」ということがある。

→このクラスでは子どもたちに「使った教室は片付ける」ということをはじめ、「時間を守る」「休むときや遅刻するときの連絡を徹底する」ということも促している。

 

<今日の話を受けて、参考になりそうなコメントや資料を事務局からご紹介します>

1、

Q,なぜ、このハロハロクラスでは子どもたちに「宿題を持ってきて」と言うのか。

A,

金曜日に出された宿題を月曜日に出せるかどうかは、子どもたちの精神状態において非常に重要なことである。月曜日に「宿題やってきました」と言える子どもは一週間、堂々と通学することができるが、宿題をやっていけないと子どもは、その子なりに不安な一週間を送ることになる。「“5年生で、1~4年生のことがわかっていないのに5年生のことをやれ”と言うのは土台無理な話だ」という意見もある。けれども、5年生だから当たり前に学校からは5年生の宿題を出されて、「1~4年生のことが出来ていないから宿題はできません」ということでは、その子どもはずっと宿題が出せないことになってしまう。その負担を少しでも軽くして、まずは「学校へ通うこと」を目指している。そのためのモチベーション維持のひとつとして「宿題を出すこと」としている。実際に宿題を出している子どもは、学校からの評価も良い。

2、

中学校3年生で来日し、高校進学した当会フィリピンスタッフ(21才)の経験から、ハロハロクラスに期待すること

来日して、毎日日本語が飛び交う学校へ通うのは苦痛だった。学校では日本語がわからないことで、先生の言っていることがわからない、自分の喋ったことに対して友達の反応が変だったので、失礼なことを言ってしまったのではないか…悩みの連続だった。そういうストレスに押しつぶされそうになりながらも、学校は毎日通わなければならないところだった。そのような日々をお送り、もし仮にこの土曜日のハロハロ教室で同じように「日本語であれをやりなさい、これをやりなさい」と強要されたら、息が詰まってしまう。「なんだ、ここも同じだ」と思ってしまう。だから、「楽しく学べる場所」「モチベーションを上げる場所」という意味で、ハロハロクラスの存在の意味は大きいと思う。

 

3、参考資料

フィリピン人の背景 

 

4、ハロハロクラスのチラシ

※本日ご参加くださいましたボランティアの皆様に心よりお礼申し上げます。

また、今日来られなかったけれど「今年度も協力します」と事前にご連絡をくださいましたボランティアさん、ありとうございます。

 

今年度も皆様とともに、フィリピンの子どもたち、保護者のための活動を続けてまいります。

引き続き、ご支援のほどお願い申し上げます。

 

NPO法人フィリピノナガイサスタッフ一同