【公開講座】国と世代を超えた移民のライフキャリア支援について

11月19日(土)、前半「フィリピンの教育事情」に続いて、後半は大阪Minamiこども教室様より古賀様と島村様を招聘し、ご講義いただきました。

大阪Minamiこども教室さんの設立経緯は2012年の悲しい事件によるものでしたが、それをある母子の悲しい事件として風化させず、こうした結果をもたらしてしまったのは地域、教育現場が抱える課題なのではないか?という問題意識を強く持たれたことが、活動のエンパワメントになっているのだと知りました。

私たちフィリピノナガイサはフィリピンの皆さんの相談にも応じることから、窓口としての機能を持ち、日本社会へ橋渡しするための「ハブ」の役目を担っていると考えておりますが、こうして同じような活動をしている団体さんと連携し、取組を発信していくことで、活動の輪が全国に広がることを期待しています。

この場をお借りして、この度の大阪Minamiこども教室様とのご縁に、熱く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

 

さて本講座終了後、ご参加者の方々からは次のようなお声が寄せられました。

・たくさんの仕事をこなしていることに驚いた

・多様な支援者を巻き込むことの重要性を学びました

・周りの人が活動に参加したくなるお人柄だった。古賀さんと島村さんが心を込めて発表している姿が印象的だった

・日本社会側も、ちゃんと知るべき内容だと思った

・このような草の根的な活動は評価される一方で、続けていくための資金調達の難しさがある。その点を助成金申請や賞金などでカバーし、継続していることが素晴らしい。

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皆様、本日もおつかれさまでした。次回は12月10日になります。

【公開講座】フィリピンの教育事情

11月19日(土)、公開講座「フィリピンの教育事情」について、Ayako Kasahara Guzman先生(フィリピン日系人会インターナショナルスクール)にお話を伺いましたので、下記ご報告します。

 

★フィリピンの教育制度(K to 12)

★私立学校と公立学校のちがい

★私立学校の一日

★私立学校の一年

★知られていない日本の学校との大きな違い

・毎年入学手続きを行う

・転入、転出が多い

・国語であるフィリピン語が理解できない子どもが多い

・地方では、母語ではない言語(英語・フィリピノ語)で授業が行われる

・落第がある

・私立学校の入学試験で落とされることはない

★フィリピンの教育の現状と今後

・コロナ禍での問題点

 

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ご参加者からは、次のようなご感想が寄せられました。

・フィリピンの教育事情が良く分かってよかった

・実際にフィリピン人の児童支援をしているので、参考になった

・ベトナムのお子さんの支援についても役に立つ話が聞けた

・多言語の国の教育について、理解を深めることができた

・お話が具体的で、とてもわかりやすかった

 

笠原先生、フィリピンからご登壇いただきまして誠にありがとうございました。そして、いつも当法人の講座にご参加いただいている皆様、おつかれさまでした。後半に続きます。

進化しているチームティーチング(バヤニハン浜北)

浜北クラスの報告です。

今日は大学生の日本語教育実習生がついに教壇に立つ日。地域の教室で「教壇に立つ」というのは少しイメージと違うかもしれないけど、”事前に教案を考えて、実際に指導・ファシリテーションをやってみるという日”でした。

実習生は協働センターに一番乗りでやって来て、今日は緊張している様子。彼女はバレーボール部だと聞いていたので、「大丈夫。思いきりやってみて。どんな球でも”リベロ”になるから」といったところ、「ありがとうございます!」と笑顔に^^

さて、今日のテーマは、少し前にある学習者から要望のあった「コチラ」。

「つなひろ」のレベル1 シーン2「牛乳はどこですか」の内容です。ですが、リクエストされた方をはじめ、レギュラーの学習者がほぼ全員お休み…(汗)

いっぽう、ご新規さん3名が新たにご参加!という状況。実習生が準備の中で「日本語のレベルはこれくらいの学習者が来るだろう」とシミュレーションしてきたことと現場が全く違うものになりました。

教壇デビューにして想定外という難しい状況の中、授業(実習)がスタート。動画視聴で場面把握をしながら、「ふだん学習者の皆さんはどこで買い物をしていますか?」など、和やかに授業が進みます。漢字や文法的な指導も地域の教室の雰囲気に馴染むよう、上手にアレンジして取り入れて、後半のワーク(今日はオリジナルスクリプトづくりと、ロープレ)に橋渡しできるようにがんばりました。

 

このクラスは日本語教育人材として、今申し上げた「養成段階の実習生」はじめ、「初任者」「中堅者兼コーディネーター」、加えて「バイリンガルスタッフ」がいて、支えています。

前半の実習生の球を受けて、後半は上記のメンバーがそれぞれの立場で、個々にレベルの違う学習者に向き合い、一緒に汗をかきました!

スクリプト、作っているところ↓↓↓

 

来日して数日という学習者は、バイリンガルスタッフと一緒に「すみません、フィリピンフードはどこですか」から始まるスクリプトを作成し、ロープレにチャレンジしました。↓↓↓

 

来日して6年という学習者は、アピタ浜北店のインフォメーションで、①「すみません、ダイソーはどこですか」 ②(ダイソーに場所を移して)「すみません、鉛筆はどこですか」 ③(さらに場所を移して)「2Bの鉛筆はどれですか」と場面を段階に分けてオリジナルスクリプトを考えたようです。こちらには初任の日本語教師がついて、「こそあど」を巧みに使い分けました!!おかげで学習者は気持ちよさそうにロープレしていましたよ。お見事♡

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滞在年数10年を超える方は、しまむらで「こたつのふとんが欲しい」ということでした。それで、「こたつぶとん」という新しい言葉を覚えました。最後に、「(このクラスは)いつもいいかんじですね」とコメントを寄せてくれました。

ちなみに、この方は毎回書くポートフォリオをとても大切にしてくださっているとのことで、一枚ずつ学習の記録をめくりながら振り返って話してくれました。「最初は私、ローマ字で書いていたんだよ。今はね、ひらがなや漢字で書けるようになった」って。

今日も帰ったら、このポートフォリオをお子さんにお見せするのだそうです。ママ、がんばりました(#^^#)

皆さん、本日もおつかれさまでした!

 

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最後に…。

今年度の浜北クラスは、教師陣のチームとしての成長に力を入れています。地域日本語教室では、即興でなんとかしなければならないことが多いのですが、個々が最大限に力を発揮して職務を全うしています。リフレクションをしながら、チームで補い合う。今日もお互いの気づきを授業終了後にシェアして、パチリ☆

みんなで、いい汗かいたあとです(;・∀・)(笑)

【公開講座】日本語教育参照枠が目指す多様な評価と、シビックプライド

11月5日(土)公開講座、前半の「『地域』日本語教育が目指す人物像とは」に続き、後半は「日本語教育参照枠が目指す多様な評価と、シビックプライド」を実施しました。

講師は常葉大学造形学部造形学科教授・安武伸朗様、文化庁国語課日本語教育調査官・松井孝浩様にお願いし、実施致しましたのでご報告いたします。

 

①文化庁国語課日本語教育調査官・松井孝浩様「日本語教育に関する法律・方針・施策と『日本語教育の参照枠』」

日本語教育の推進に関する法律(令和元年法律第48号)

日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針

外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(令和4年度改訂)の概要

外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ

日本語教育の参照枠

国が出しているいくつかの報告書等をお示しいただき、来日し、滞在している方々の社会的文脈をよく考えた日本語教育の意義についてお話がありました。

 

ところで、皆さんは「シビックプライド」という言葉を聞いたことがありますか。シビックプライドとは「市民が、自分が暮らす都市に対して感じる誇りや愛着で、市民ひとりひとりが暮らしに感じる喜びから生まれたり、行政による戦略的なコミュニケーション計画から生まれたりするもの」と言われています。

このことは当法人はじめ、市民活動としての地域日本語教育団体さんは、腑に落ちるところではないかと考え、「シビックプライド」から活動のヒントが得られればと考えました。

そこで、続いては安武先生にご講義をお願い致しました。

 

②常葉大学造形学部造形学科教授・安武伸朗様「『静岡市民のシビックプライドの種を探す』課題解決学習(PBL)の実践報告」

冒頭、先生から「シビックプライド」の概要を簡単に伺ったあと、常葉大学の学生たちが2011年~2018年にかけて実施した取組についてお聞きしました。(常葉大学造形学部「シビックプライド研究会(未来デザイン研究会)」学生が参加する正課外PBLとして運営。大学の地域貢献活動支援、静岡県の大学コンソーシアムによる行政の課題解決事業支援など、学内外の活動資金を活用した事例)

★2011年 街を知る地図を作る

★2012年 愛着を語るワークショップ

★2013年 愛着を投稿してもらうWeb

★2014年 愛着の展示会をひらく

★2015年 人に注目する

★2016年 移住したい人にむけた魅力をまとめる

★2017年 静岡の嬉しい暮らし方を伝える

★2018年 嬉しい暮らし方から知る

上記の取組において、デザイン系の学部の強みとして、誇りや愛着が感じられる過程を「見える化」できたことは、シビックプライドに関する調査への理解に大きく寄与したのではないかというお話がありました。プロジェクトをチームで前に進めるのに、「見える化」することは、とても大切なのですね。

こうして、学生たちが「課題解決型学習」形式の調査で得られた結果や気づきを見える化し、ディスカッションを通して、シビックプライドの種のようなものを見つけていこうとした試みた一連の取組は、とても面白いと思いました。また、研究を進めていくうちに学生たちは「シビックプライドの確認には、自分の愛着を語り合う。だけど象徴的なデータはあまりない。シビックプライドの種は絞り込みが難しく、優先順位も混とんとしている」ということに気づいたそうです。

そしてもっと面白いことに、本講座はもともと「シビックプライドについて知りたい」ということから、安武先生にお願いしたのですが、実際はこうした「シビックプライド」の奥深さのみならず、学生たちの「課題解決型学習の過程やその効果」からも、私たち受講者に示唆を与えてくれたことでした。

学生たちによるアクティブラーニングによって、教員にも気づきが生まれたというお話が先生からありましたが、学生たちは現実社会に自身で見つけた課題に取り組む中で自己評価し、自身のキャリア形成についても考えるよう変化し、社会へ巣立って行ったそうです。シビックプライドの研究によって、地域の大人たちからお話を聞く機会を得て、就職活動への考え方にも影響を与えたというのです。

自分の暮らす都市への愛着、シビックプライドの醸成によって自己実現を考えるに至ったという大学生がたどった道筋の事例は、地域の日本語教育にとっても参考になるお話がたくさん含まれていたと思います。

安武先生、大変興味深いお話を聞かせていただきありがとうございました。

なお、安武先生の教え子たちが研究した成果の一部を、ウェブサイトで見つけました(シビックプライドの種発見ワークショップ

 

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ご参加者からは「シビックプライド」について多くの感想が寄せられました。

・日本語教育とは違う分野から地域を見つめるような事例を聞けて、新鮮だった。

・自分の住んでいる地域で共に暮らす外国人も巻き込んで、その都市にプライドを持つということがよかった。なにか一緒に作り上げていきたいと思った。

・とても良い内容だったので、日本語教育とのつながりが考えられるように発展して捉えなおしたい。

・日本語学習者をお客さんにしないというような発想が大事だと思うが、シビックプライドのワークショップにその可能性を感じた。

・街づくりは人づくりだということを改めて感じました。

 

次回は11月19日です。ご参加いただいた皆様、長いお時間おつかれさまでした。

【公開講座】「地域」日本語教育が目指す人物像とは

11月5日、今年度も公開講座(日本語教育に関わる人材の養成・研修)が始まりました。この講座は当法人が文化庁より委託を受け、共催・浜松市、後援・(公財)浜松国際交流協会HICEで実施するものです。

この日は「『地域』日本語教育が目指す人物像とは」と題し、岩手大学国際教育センター教授・松岡洋子様、浜松市国際課・古橋広樹様にお話を伺いましたので、下記の通りご報告します。

 

★浜松市国際課・古橋広樹様

・浜松市の概要(浜松市の地理的な特徴や都市としての魅力、浜松市が調査した外国人市民の状況などから見えること等をお話いただきました)

・地域日本語教育推進方針について(日本語学習機会が公的保障されていない身分に基づく在留資格者を主とした施策推進、活動に基づく在留資格者への生活者として必要な日本語学習支援の効果的な方策の検討についてなど、お話いただきました)

・浜松市の日本語教育施策について(参考

・日本語教育に携わる人材の養成について

・NPO等と連携した日本語教室について(市内協働センター3会場において、日本語学習初心者を対象とした、ひらがな・カタカナ・基礎漢字を集中的に学習する市日本語教室入門クラスを開催/協働センターでの地域日本語教室開催に当たり、団体との協働・連携による地域共通で使用可能なカリキュラムや教材等を検討/市としての地域日本語教育推進の方向性を関係者間で共有した上で、各団体のこれまでの経験やノウハウを生かした、地域として一体感のある持続可能な教室を目指すことなど、浜松市の取組のご紹介がありました)(参考

 

★岩手大学国際教育センター教授・松岡洋子様

・わたしたちの「地域」は、どんな「地域」?(エビデンスなどをもとに、自分の暮らす都市や街の特色を把握する意義についてお話いただきました)

・「地域」で日本語教育をする意味(そもそも「日本語教育」とは?何のための移住者の第二言語教育か?ということを、海外の事例を交えながら考えてみました)

・「地域」日本語教育人材ってどんな人?(①移住者のための日本語教育が出来る人材/②相互理解を働きかけるコミュニティづくりができる人材/③言語・文化を調整しながらコミュニケーションとしての日本語教育ができる人材→①~③すべてわかっていて仲介役になる人、いずれかができるという立ち位置を担う人がそれぞれ必要というお話を、お聞きしました)

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古橋様と松岡様のお話を受けて、参加者のご感想の一部は次の通りです。

★豊富な事例と本音の問題意識を共有していただいたことで、日本語教育に携わる意欲がさらに増した

★地域の日本語教室が置かれている状況についてよく理解できた

★地域に関わってほしい人物像について、大胆に言ってもらえてよかった

★講師陣が本音をお話くださったので、説得力があり納得できた

★浜松市は地域と連携して、日本語教育人材とボランティア養成の両方を本当に力を入れてやっているということが、よくわかった

★他国の言語政策・移民政策の事例を交えながら、クリティカルに指摘されていたのでとても勉強になった

★地域での日本語教師は単に日本語を教える存在ではなく、地域で共生する存在としての「受容性」を認識しました

★もっと広い視野を持って、日本語教育に携わる必要を感じた

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こちらを皮切りに、本シリーズ講座は1月21日まで続きます。引き続きどうぞよろしくお願いします。