小学校4年生の総合学習における出前講座「やさしい日本語」/浜松市「防災ノート」を使って

当法人は浜松市UD講師派遣プログラムに「やさしい日本語」講座の登録をしており、出前講座に応じています。6月、市内のある小学校(4年生 155名対象)から依頼を受けて行ってまいりました。

 

小学生たちからは、事前に当法人の子どもたちに向けて、次のような質問をいただいていました。(朝の会を使って、各クラス1つ、質問を考えてくれたそうです)

①日本で楽しいと思ったことは、どんなことですか

②日本の文化で、おどろいたことはどんなことですか

③日本来て、印象にのこっていること(もの)は、何ですか

④日本をどう思っていますか

⑤日本に来た理由は何ですか

これらの質問について、日本語教室活動の中で動画で回答しましたので、小学生たちに見せました。加えて、当法人の取組も紹介しました。

今月の日本語教室のテーマは「防災」で、フィリピノナガイサの子どもたちは「はま防~家」へ見学に行ったり、防災ポスターを作成しています。そんな様子を、小学生たちにスライドショーで見てもらいました。

 

今回のワーク活動では、浜松市防災ノート(小学校3・4年生版)を使うことにしました。なお、この防災ノートは市内小中学生に配布されるものですが、浜松市のホームページからどなたでもご覧になれます。

登場人物のみやびくんの「あ、そうだ!」という一言があるのですが、「自分たちだったら同じような状況で、どんな行動をするか?学校や家庭で普段から話し合っていることや自分の知っていること」を考えてみてもらいました。

でも、もし日本の地震のことを知らない友達がいたら、同じように行動できるかな?情報を知らないお友達に、みんなはどうやって伝えるのかな?

防災ポスターを作って教えてね

というグループ活動をしました。

絵を描いたり、ローマ字やふりがなを書いたり、箇条書きにしたり…それぞれの班で災害への備えや、いざというときの行動などを、分かりやすく伝える工夫をして仕上げてくれました。

出来上がったポスターのいくつかを、当法人の子どもたちにお土産でいただきました。小学生のみなさん、どうもありがとうございました。

土曜日の近況報告(写真いろいろ♡)

6月4日から、今年度の「バヤニハン日本語教室」も始まりました。

というわけで、改めてハロハロ教室やバヤニハン日本語教室(中区)、浜松市日本語教室(週末浜北コース)の写真を一気にまとめて下記、ご紹介します♪

今年度も毎週土曜日、フィリピノナガイサはフル稼働です!!

Maraming salamat po.

土曜日また会いましょう。

【お知らせ】多様性を活かしたまちづくり2022 浜松

8月1日(月)「多様性を活かしたまちづくり2022 浜松」のセッション①「外国にルーツを持つ子どもと若者の課題解決に向けて」に当法人代表理事、松本義一が登壇します。

ハイブリッドでの開催で、

お申し込み締め切りは7月27日(水)

 

詳細は「こちら

・・・

(下記、本シンポジウムのウェブページから抜粋)

来年度から浜松市の多文化共生施策の指針である「浜松市多文化共生都市ビジョン」が第3次計画期間を迎えるにあたり、多様性を生かしたまちづくりの実践をより進め、価値創造型の多文化共生都市・浜松に向けて考えるシンポジウムを開催します。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

~浜松市は多様性を生かしたまちづくりへの戦略的な取組として、欧州評議会が主導し、世界150都市以上が参加するインターカルチュラル・シティ(ICC)にアジアの都市として初めて加盟しています~

 

「自己効力感」に着目し、地域日本語教育にあたる

当法人は「浜松市地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」に係る日本語教室のうち、浜名協働センター会場の取組の再委託を受けています。

5月28日・6月4日の2回(3時間/回)にわたり、まずは「ひらがな」の学習全てを終えました。「『ひらがな』の学習を6時間で教えるのは無理、覚えるのは無理」というご意見も聞かれれば、「『ひらがな』だけで3時間やり続けるなんて、一体どんなカリキュラムなの?」という疑問のお声も聞かれたりします。

また、全国で定住外国人向けに行われるアンケートの問いに多い「『ひらがな・カタカナ』できますか」に対して、「少しできます」「ほとんどできません」という回答が多いことも見受けられ、どうしたらよいのかと考えてきました。

様々な思いが交錯する中、針の穴に糸を通すような心持ちでこの事業に向き合っているのですが、「少しできる」というのは「できる」ですし、「ほとんどできません」も「少しできる」というように解釈できます。このことから私たちは「自己効力感」というキーワードにたどり着き、これを上げる支援をすることで、委託を受けた目的を果たせないかと挑戦しています。

 

以下、2回にわたる「ひらがな」支援の報告です。

 

★五十音に触れたことがないという人は(ほとんど)いないということに着目

定住者の場合、「ひらがな・カタカナ」が「できない」という視点に立ちますと「ふりだしにもどる」という状況に陥ります。しかし、五十音表を見れば、多くの方は「aiueo/kakikukeko…」の配置で並んでいることをご存知です。また簡単な語彙なら、それを読むこともできます。このことは、音と文字が一致している証だと思いますが、さらに多くの音と文字を一致させていくには、どのような梯子を掛けるのが良いのか、活動を考えてみました。しかも、能動的に取り組みたくなる支援を重視しています。

 

★「あいうえお、かきくけこ…」と唱えながら、文字カードを並べていく

音と形のマッチング作業をしていきました。並べてはバラバラにして、また並べ直してを繰り返し、一つ一つの音に対する形を覚えていきます。この事業には4名の講師・補助者がいますので、皆さんの自主学習を見て回り、支援しています。

(文字カードは昨年も使用しました。「こちら」)

アナログな感じのする文字カード…。スマホやタブレットでもいいじゃないかと思いますが、意外とこういう小物が意欲をかきたてることもありますね。学習者の学習観に寄り添うことも大切にしています。

 

 

★音と形を覚えた後に書いてみる

かねてから、知らない音と形をやみくもに書いてひたすら覚えるというのは効果が上がらないのではないかと考えていました。と言いますのも、多くの学習者は「百円均一ショップでドリルを買って何度も書いて勉強した。でもできない(できたという実感が得られない)」と言うのです。そのため、下記の梯子を考えました。

①音を覚える(知っている)

②知っている音の形を覚える(読めるor推測できる)

③②を踏まえた上で書いて、音と形の記憶を一致させる

④たくさん書いた文字の中から「ベストオブ”あ”」「ベストオブ”い”」…を自身で選ぶ。それらを教師や補助者・学習者にも意見を求め、「そうだね」「私は、こっちの”あ”もバランスがいいと思う」などやり取りする。

 

ちなみに、「ひらがな・カタカナがほとんどできない(できるという実感が得られない)」ということで、自己評価を上げるのに足りないのは、おそらく③の「書くこと」への自信のなさなのではないかと思われます。

「書ける」に至る梯子がない限りは、自己効力感が上がらないのではないか?!ということに気づいたのですが、「梯子を掛ければできる」という支援のあり方は、当法人の得意とするところでもあります。

いっぽう、少なからず社会の側が「書ける」を求める限り、個人の自己効力感に影響を与えているという現実も否めません。私たちは自己効力感を上げられないような社会の風潮を作ってしまっていないか、あわせて考える必要があるということも添えておきます。

 

★「覚えた」「書けた」という達成感を確かなものにするための工夫

「できた!(という実感)」を見える化するために、どんな題材がよいか考えました。そこで、「五十音の穴埋めがすべて自力でできること(HICE「ひらがな・カタカナれんしゅう帳 p.70 )」をクラスの共通目標に据えました。五十音を順番に書けることを求めたのではなく、皆さんに味わっていただきたかったことは、何も見ずに自力で穴埋めできたときの「気持ち」でした。やってみてどうだったかをうかがったところ、「達成感を感じた」「うれしい」「挑戦するのが楽しかった」「ありがとう」と前向きな感想が聞かれました。

~そうですか!私たちもうれしいです^^~

(みなさん、目標に向けてご自宅でも勉強を頑張ったのだと思われます)

 

また、このクラスへ来たばかりの時、読めるけど書ける文字が一つもなく、自信を失くしていた方が、2回を終えてほぼ「ひらがな」読み書きをマスターしました。聞けば「子どものころ、兄弟が多くて十分に勉強できる環境ではなかった。子どものとき、もっと勉強したかった。今から勉強を頑張ろうと思う!」ということで、熱意を聞かせてくださいました。その方は未就園児のママさんでもあります。

~「ひらがな」の学習が、ご自身の人生を振り返るまでに至ったのですね。私たちにそのようなお話を聞かせてくださいまして、感謝します~

(このようなご自身の学びに対する気づきやお気持ちが、ママとしての支えにもなり、次世代に受け継がれるようでしたら幸いです)

・・・

こうして、学習者自身が納得して「できた」を獲得してもらうために奮闘しているのですが、これには「キャリア教育」の分野からいくつか手法や理論にヒントをもらいながら運営をしています。今後、折に触れてそれぞれご紹介できればと思いますが、本記事にはキーワードのみご紹介します。

・自律学習

・ピア学習

・自己理解

・受容・共感・自己一致

・自己効力感に大事な4つの要素→遂行行動の達成・モデリング・社会的説得・情動喚起(なお自己効力感は自己肯定感とは違います)

 

そして何よりも、このクラスは「チームティーチング」が肝になっています。教師・補助者も学習者と一丸となって協力し合い、教室に関わることで、「多様な評価」による関係性づくりを醸成しています。

さぁ、来週からはカタカナの勉強です。クラスは8月まで。後半は生活漢字も取り上げていきますよ♪

Maraming salamat po.