持続可能な地域社会の形成 ~協働センターでの日本語教室活動から~(浜松市再委託事業・ご報告)

おかげさまをもちまして8月6日(土)、浜松市地域日本語教育の体制づくり推進事業「週末浜北区コース」が終了しました。

5月から「ひらがな・カタカナ」、6月には「漢字」の勉強に入り、最終日は「漢字で住所を書く」という学習内容でした。

…が、実は最終回、漢字で住所を書く「練習」はしていないのです。でも、みんな「できた」という取組をしましたので、下記、ご報告を申し上げます。

(*^^)v

このクラスでは5月からずっと、「最終回には漢字で住所を書くよ」「協働センターの窓口に行って、住民票の申込書に書くよ」とアナウンスし続けてきました。

あわせて、早くから皆に「こちら」のハンドアウトをお渡ししていました。(2020年度の報告として、文化庁に提出したオリジナル教科書より)

 

さらに毎回、授業が終わるたびに「宿題で住所を書く練習をしておいてね」と伝えたり、「授業は1時からだけど、12時半には部屋を空けておくので早めに来て練習してもいいよ」とアナウンスしたり…。

またLINEでは、「みんな、住所書いてる~?」と動画メッセージを送ったり(笑)

筆順アプリ」を紹介したり…などなど。

(写真は「ちょっとずつでいいから、やってみてね」をLINEグループに動画で送るの図)

皆さんがお持ちの在留カードに「漢字のかたち(答え)」が書いてあることを手掛かりに、「自主的に取り組んで書けた」というゴールに向けてサポートしていきました。

平行して、他の漢字学習はカリキュラム通りに、テーマに沿って進行していきました。とくに浜松市から指定の「ベーシックストローク」「薬局」「病院」「道」というテーマについては各語彙の書き順はもとより、自主学習では難しい字のバランス、成り立ち、意味などの「漢字の基礎」を日本語教師が教えながら、そして教室補助者も細やかにサポートしながら、チームティーチングで展開してきました。

ところで、漢字で住所を書くことについては、

・暗記していないけど、書いた経験がある

・上手に書けないけど、書いた経験がある

・ふだん、ローマ字で書いているけど「書けるようになりたい」と思っている

多くの方は、こんなふうに「一度は書いたことがある」「書けるようになりたい」という「動機」を持っているのではないかと考えます。

他のテーマで学んだ漢字の基礎や学び方を使って、自力で住所を書ける、そして、「できた」という皆の自信をより深いものにしたい。教室活動と社会のリアルを結び付ける取組実践はどうしたものか。

そこで、協働センターの職員さんに協力をお願いすることにしました。

「私たちは毎週、漢字の勉強をしていますが、最後に住所を書きたいと思っています。実際に窓口で住民票の申込用紙に記入するというワークをしたいのですが、協力していただけませんか」とお願いしたところ、ご快諾いただきました。センターからは職員の田中さん(仮名)がご担当してくださることになりました。

こうして迎えた当日。

田中さんには事前に静岡県の「やさにち富士夫くんバッジ」をお渡ししてあったのですが、エプロンに付けて教室へお見えになり、「私、やさしい日本語で話せるかしら~」と活動への参加を楽しみにしてくださっているご様子。

しかも!田中さんは、本来A5サイズの住民票の申込書を、ホワイトボードに貼って説明するためにA3サイズに拡大印刷してきてくださったのです!用紙の色まで本物の申込用紙に合わせていただき、ありがとうございます^^

 

ほかにも、住民票の申込書に書くときの注意点や外国人市民が窓口へ来て、よくあるケース(持ち物や本人確認、申請目的に合わせたレ点を入れる箇所など)、協働センター窓口で取得できるその他の書類についても、とても丁寧にユーモアを交えて教えてくださいました。その様子は、これらのお写真から伝わるでしょうか。

「本人確認書類は、車に乗る人は免許証でいいし、いつも持ち歩いている在留カードでもいいのよ。マイナンバーカードでもいいけど、あれはなくすと大変だから、持っている人はちゃんと金庫で保管してね。なくさないように気を付けてね」と、みんなのことを心配し、気遣ってくれました。

(みんな金庫を持っているかな!?と見守りつつ、少なくても田中さんが皆のことを気にかけてくれている様子が伝わってきます♡)

 

ある学習者がポロリと。「この人、いい人だね。(サンプルで見せてくれた)免許証もゴールドだしね」と言っていました。

何か、心に響くものがあったのでしょう^^

さて座学が終わり、田中さんは「私は先に窓口へ戻るわよ。あとで、待っているから。心の準備ができた人から来てね。」とメッセージを残して去っていかれました。

皆は教室で、バイリンガルや日本語の先生たちと住所を見ないで書けるか、最終確認をして…

さぁ、いよいよ「漢字で住所を書く」という本番です!順番に窓口へ行きましょう。緊張感の中、思い思いに最初の一言を窓口で切り出します。

「すみません、住民票お願いします」

「すみません、田中さん、いらっしゃいますか」

みんな、すごく真剣!

田中さんが一人ずつ、「がんばったわね。書けたわね。大丈夫!わからないときはこれからも、私に聞いてね」とお言葉をかけていきながら、皆が書いた申請書にシールを貼っていってくださいました。

協働センターに行ったら、田中さんのような職員さんがいてくださると、安心ですね。互いに関係性を築き、安心した環境下で「漢字で住所を書くことができました」。

この取組について、学習者の皆さんの感想ですが、教室へ戻って来るやいなや「キャー、先生、うれしい!できた~(><)」と小刻みに足踏みして喜ぶ方もいましたし、

★自力で書けて、楽しかった

★Self confidenceになりました

★次は、印鑑登録をしてみたい

というお声が聞かれました。

それから印象的だったのは「いつも、ローマ字で書いていたときは長くなってしまって、申請書の枠内に入らなくて、すごく嫌だった。漢字なら、このフレームの中に収まる!書けるようになって、よかった」とおっしゃった学習者がいたことでした。

漢字で書くと枠内に収まるという喜びを得て、これまで潜在的に感じていた不快感・困っていたことに気づかれたようです。ご自身でそれを解決して、晴れ晴れとした表情をしていらっしゃいました。この方、妊婦さんなのですが、これからたくさん書類に住所を書く機会があると思います。よかったです。

・・・

ところで来年2月ごろ、浜松市は窓口での住民票をはじめとする書類申請はペーパーレスになっていくそうです。「だったら、漢字で住所を書けなくてもいいんじゃない?」というお声も聞かれないわけではありません。

ですが、「書けるようになりたい」「書けるようになった」という「思い」を汲んで、地域が理解を示し、寄り添う意味は大きいと思います。

日本語教育を取り巻く施策が激動の今、「地域活性化」を目的としたビジョンや理念、あり方が示されつつありますが、現場は事例という形にして、どんどん輩出していきたいです。

みなさん、またお会いしましょう。

 

★9月10日からは「バヤニハン~みんなで地域をつくっていこう~」の浜北クラスが開講です。引き続き、よろしくおねがいします。

自宅近くの「ひなん地」「ひなん所」を、漢字で記入しました(浜松市日本語教室「週末浜北コース」)

このクラスでは集合写真が定番になってきました!

皆さんとの思い出が増えて、とてもうれしく思います。

さて、今日のテーマは「台風・地震災害」について。このテーマは浜松市委託日本語教室(ひらがな・カタカナ・漢字クラス)の共通項目になっています。

当法人ではこのテーマについての目標を「自宅近くの避難地・避難所について調べて、漢字で書こう」という設定を設けました。

その目標に向けて「静岡県『避難生活ガイドブック』」と、オリジナル教材を使って下記の通り、展開しました。

①気象庁のウェブサイト「キキクル」から、「危機」「来る」という語彙を勉強したり、そちらのウェブサイトに掲載されているピクトグラムから、台風や大雨時の災害の種類を覚えました。

先週配布した「避難指示のプリント(こちら)」と「キキクル」を照合して避難のレベルと色を確認したり、避難の種類(避難所以外でも避難できるところ)を考えました。

 

また、フィリピンをはじめとする複数の国の方が集まるようになりましたので、この機会をとらえて同じクラスの仲間の言語を尊重したり交流に結びつく時間を少しでも取り入れるようにしています。今回は「気象庁」という語彙を使って。

 

②地震については、学習動機としての導入に実際の震災時の動画を視聴し、感想を伝え合いました。(なお、動画はyoutubeで探したものになります)。

 

③「静岡県『避難生活ガイドブック』」の「やさしい日本語版」と「多言語版」の両方を配布し、必要箇所を読み合わせしました。とくに、「ひなん地」と「ひなん所」のピクトグラムを使って、漢字を勉強したり2つの違いを取り上げました。

学習者ごとに多言語版を合わせて配布したことが、学習者から好評でした。

④最後に講師複数名でそれぞれの学習者の住所を聞いて回り、「カナル浜松の防災」のウェブサイトから「地区」について検索し、災害の種類ごとの避難地を調べたり、「家が壊れた時に住む場所(やさしい日本語での表記)」である「避難所」を調べて、施設名を漢字で書きました。

静岡県『避難生活ガイドブック』」(p.21)に記入。

加えて、このような漢字教材を追加しました。

⑤今日の配布プリントや自己評価はこの「静岡県『避難生活ガイドブック』」に糊付けして、ポートフォリオとしてまとめました。ところで、「自己評価はたくさん書いてほしいので母語でもよい」と促しているのですが、「日本語で記入したい」という方もお見えです。日本語を使うのを楽しみにしてやって来てくれる場を提供できているのだと受け止め、感謝しています。みなさん、ありがとう。

*いつも、防災のことは分からないことが多かったけど、今日は少しわかってよかった。

*自分の家の近くの逃げる場所を知らなかったから、わかってよかった。

*このテーマは私たちにとって大切です。

 

さて、来週からはテーマが変わります。病院、薬局…と続きます。また、いっしょに勉強しましょう!

自分たちだけのオリジナル!「漢字」ラップブックを作ったよ(浜松市地域日本語教育の体制づくり推進事業「週末浜北コース」)

浜松市地域日本語教育の体制づくり推進事業「週末浜北コース」は、ひらがな・カタカナの読み書きを終えて、先週から漢字学習に入っています。6月25日には基礎的な漢字の意味や筆順を勉強しました。

そして、7月2日は「天気・季節」についての漢字を取り上げました。本事業の対面版は浜北区ほか、このあと南区、東区会場と続きますが、この「天気・季節」は全クラスでの共通テーマになります。

地球規模で異常気象が続いており、とくに台風や豪雨については漢字学習に加えて、備えや情報提供が欠かせないものになっています。折に触れてこのテーマを思い出して見返したくなるような成果物を作れないか…。

そこで、本日の授業で使用したワークシートを最後に簡易ラップブックとしてまとめておくことにしました。

(「学びを見える化するラップブック」については昨年、神奈川県の成田潤也先生に教えていただきました(こちら))

皆にも「今日は自分たちで教科書を作っちゃおう!」と、このラップブックについて宣言して授業開始。

まずは天気に関する漢字を読んだり書いたりしながら、学習者間で役立つアプリ情報の交換などをしました。

ところで、下記ワークシート1番の答えは「天気」なのですが、日本語ほか5か国語で書いています。縁あって同じクラスに在籍している仲間の言語にも関心を持ってもらえるよう工夫しています^^(英語・スペイン語・インドネシア語・フィリピノ語・ベトナム語・日本語)

ワークシートを埋めた後は、天気に関する言葉を取り入れた挨拶練習をしてみました。そっけない天気を説明するだけの一文も、最後に「ね」を付けるだけで、意思疎通の機能を持たせることができますね♡

表情も大切にしながら。

次に、気象庁の過去30年分のデータから、「浜松市の1年間の平均気温・降水量」を、当法人スタッフがExcelでグラフ化してくれました。これを教材に使用しました(作成の協力、ありがとうございます!)。

グラフを読み取り、先週このクラスで覚えた漢数字を使って答えを書き入れることができました。

さて、「最も」という漢字ですが、「最高~」とか「最低っ」とかって感覚を、皆は生活の中で体得しているのではないか!?と思いませんか。クラスでは味気ない漢字学習とならないよう、学習者が自分で自分の思考にハシゴを掛けていけるようサポートしています。日常生活の日本語が出来る強みを生かしていきましょう!

というわけで、「最も」に値する言葉を、皆で出し合って赤枠に埋めました。予め学習者が答えるであろう解答を想定していたのですが(いちばん・すごく・とても等…)、なんと予想を裏切って「遠州弁」が出てきました!!

たしかに「ばか暑いら~」「ど暑いにぃ~」って言いますよね。参りました(笑)みんな、めっちゃスゴイ!

ほかにも、気象庁が発表する情報を使って語彙や漢字を取り上げ、これらを四季のシートに落とし込む作業を取り入れました。

 

(学習者の皆さんの成果物の写真を撮りそびれたので、次回、許可をいただいた後、いくつか掲載させていただきます。今日は講師作ですみません)

最後に、各自、好きな色の画用紙を選んで…

思い思いにシールなどでデコレーションし、

本日のワークシートと、皆さんの母語に合わせた「避難指示」のプリント(内閣府防災情報のページこちら)を配布し、それも中に綴じていただき、

オリジナルラップブックの、完成で~す♪

最後、駆け足になってしまいましたので、来週もこちらのワークシートを振り返りや発展に、使っていきたいと思います。

みんな、忘れないで持ってきてね。

 

Maraming salamat po.

Terima kasih.

Gracias.

ありがとう。

土曜日の近況報告(写真いろいろ♡)

6月4日から、今年度の「バヤニハン日本語教室」も始まりました。

というわけで、改めてハロハロ教室やバヤニハン日本語教室(中区)、浜松市日本語教室(週末浜北コース)の写真を一気にまとめて下記、ご紹介します♪

今年度も毎週土曜日、フィリピノナガイサはフル稼働です!!

Maraming salamat po.

土曜日また会いましょう。

「自己効力感」に着目し、地域日本語教育にあたる

当法人は「浜松市地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」に係る日本語教室のうち、浜名協働センター会場の取組の再委託を受けています。

5月28日・6月4日の2回(3時間/回)にわたり、まずは「ひらがな」の学習全てを終えました。「『ひらがな』の学習を6時間で教えるのは無理、覚えるのは無理」というご意見も聞かれれば、「『ひらがな』だけで3時間やり続けるなんて、一体どんなカリキュラムなの?」という疑問のお声も聞かれたりします。

また、全国で定住外国人向けに行われるアンケートの問いに多い「『ひらがな・カタカナ』できますか」に対して、「少しできます」「ほとんどできません」という回答が多いことも見受けられ、どうしたらよいのかと考えてきました。

様々な思いが交錯する中、針の穴に糸を通すような心持ちでこの事業に向き合っているのですが、「少しできる」というのは「できる」ですし、「ほとんどできません」も「少しできる」というように解釈できます。このことから私たちは「自己効力感」というキーワードにたどり着き、これを上げる支援をすることで、委託を受けた目的を果たせないかと挑戦しています。

 

以下、2回にわたる「ひらがな」支援の報告です。

 

★五十音に触れたことがないという人は(ほとんど)いないということに着目

定住者の場合、「ひらがな・カタカナ」が「できない」という視点に立ちますと「ふりだしにもどる」という状況に陥ります。しかし、五十音表を見れば、多くの方は「aiueo/kakikukeko…」の配置で並んでいることをご存知です。また簡単な語彙なら、それを読むこともできます。このことは、音と文字が一致している証だと思いますが、さらに多くの音と文字を一致させていくには、どのような梯子を掛けるのが良いのか、活動を考えてみました。しかも、能動的に取り組みたくなる支援を重視しています。

 

★「あいうえお、かきくけこ…」と唱えながら、文字カードを並べていく

音と形のマッチング作業をしていきました。並べてはバラバラにして、また並べ直してを繰り返し、一つ一つの音に対する形を覚えていきます。この事業には4名の講師・補助者がいますので、皆さんの自主学習を見て回り、支援しています。

(文字カードは昨年も使用しました。「こちら」)

アナログな感じのする文字カード…。スマホやタブレットでもいいじゃないかと思いますが、意外とこういう小物が意欲をかきたてることもありますね。学習者の学習観に寄り添うことも大切にしています。

 

 

★音と形を覚えた後に書いてみる

かねてから、知らない音と形をやみくもに書いてひたすら覚えるというのは効果が上がらないのではないかと考えていました。と言いますのも、多くの学習者は「百円均一ショップでドリルを買って何度も書いて勉強した。でもできない(できたという実感が得られない)」と言うのです。そのため、下記の梯子を考えました。

①音を覚える(知っている)

②知っている音の形を覚える(読めるor推測できる)

③②を踏まえた上で書いて、音と形の記憶を一致させる

④たくさん書いた文字の中から「ベストオブ”あ”」「ベストオブ”い”」…を自身で選ぶ。それらを教師や補助者・学習者にも意見を求め、「そうだね」「私は、こっちの”あ”もバランスがいいと思う」などやり取りする。

 

ちなみに、「ひらがな・カタカナがほとんどできない(できるという実感が得られない)」ということで、自己評価を上げるのに足りないのは、おそらく③の「書くこと」への自信のなさなのではないかと思われます。

「書ける」に至る梯子がない限りは、自己効力感が上がらないのではないか?!ということに気づいたのですが、「梯子を掛ければできる」という支援のあり方は、当法人の得意とするところでもあります。

いっぽう、少なからず社会の側が「書ける」を求める限り、個人の自己効力感に影響を与えているという現実も否めません。私たちは自己効力感を上げられないような社会の風潮を作ってしまっていないか、あわせて考える必要があるということも添えておきます。

 

★「覚えた」「書けた」という達成感を確かなものにするための工夫

「できた!(という実感)」を見える化するために、どんな題材がよいか考えました。そこで、「五十音の穴埋めがすべて自力でできること(HICE「ひらがな・カタカナれんしゅう帳 p.70 )」をクラスの共通目標に据えました。五十音を順番に書けることを求めたのではなく、皆さんに味わっていただきたかったことは、何も見ずに自力で穴埋めできたときの「気持ち」でした。やってみてどうだったかをうかがったところ、「達成感を感じた」「うれしい」「挑戦するのが楽しかった」「ありがとう」と前向きな感想が聞かれました。

~そうですか!私たちもうれしいです^^~

(みなさん、目標に向けてご自宅でも勉強を頑張ったのだと思われます)

 

また、このクラスへ来たばかりの時、読めるけど書ける文字が一つもなく、自信を失くしていた方が、2回を終えてほぼ「ひらがな」読み書きをマスターしました。聞けば「子どものころ、兄弟が多くて十分に勉強できる環境ではなかった。子どものとき、もっと勉強したかった。今から勉強を頑張ろうと思う!」ということで、熱意を聞かせてくださいました。その方は未就園児のママさんでもあります。

~「ひらがな」の学習が、ご自身の人生を振り返るまでに至ったのですね。私たちにそのようなお話を聞かせてくださいまして、感謝します~

(このようなご自身の学びに対する気づきやお気持ちが、ママとしての支えにもなり、次世代に受け継がれるようでしたら幸いです)

・・・

こうして、学習者自身が納得して「できた」を獲得してもらうために奮闘しているのですが、これには「キャリア教育」の分野からいくつか手法や理論にヒントをもらいながら運営をしています。今後、折に触れてそれぞれご紹介できればと思いますが、本記事にはキーワードのみご紹介します。

・自律学習

・ピア学習

・自己理解

・受容・共感・自己一致

・自己効力感に大事な4つの要素→遂行行動の達成・モデリング・社会的説得・情動喚起(なお自己効力感は自己肯定感とは違います)

 

そして何よりも、このクラスは「チームティーチング」が肝になっています。教師・補助者も学習者と一丸となって協力し合い、教室に関わることで、「多様な評価」による関係性づくりを醸成しています。

さぁ、来週からはカタカナの勉強です。クラスは8月まで。後半は生活漢字も取り上げていきますよ♪

Maraming salamat po.

「ひらがなカタカナ漢字クラス(週末浜北コース)」はじまりました。

学習者の皆さんのニーズの一つに「きれいに書きたい」というのがあります。

しかし、よく考えてみると「きれい」というのは見たり感じたりする人の主観に左右され、追求するのは難しいです…

講師から見ると、どれもきれいに見えますし、ちゃんと読める字で書かれていると感じます。

このクラスでは教材やプリントをたくさんお渡しし、板書でコツを説明もいたしました。あと大事なのは、自己評価による自己効力感が背中を押すことかなと思います。

「そっか、私はここを揃えていなかったから、バランスが悪かったんだ!」「ここをもう少し長く書けばよかったんだ」と言いながら。見本と自身の字を見比べて、各々、納得のいくように直しています。個人が納得して書いた字を、しっかりと認めてあげることも、このクラスの重要な役目になっています。

また、クラスの仲間と書いた文字を比べて、アドバイスし合うことも自然発生的に始まっていて頼もしい限りです。

(「トメ・ハネ・ハライの「ハネ」は、アルファベットにはない感覚だけど、『チェック』のペンの動きで再現できるよ!」というやり取りも。なるほど!!)

いっぽうで、みなさんのこうしたニーズの背景には、「私たちの社会が、過度に読み書きを求めている可能性がある」ということを示唆しているのかもしれません。

日本語学習の機会を提供しながら、後者のような課題を社会へ働きかけることも、当事者団体としての当法人の使命となっています。

この教室は、今日から8月6日まで続きます。

2022年度スタートしました!

こんにちは!

いよいよ5月14日から、2022年度の活動がスタートしました。

 

午前中は総会!正会員が自宅からオンラインで勢ぞろいしました。会計・事業報告、年間予定などを行い、身が引き締まります。

 

1時間後には対面で、それぞれが担当する教室会場へ移動し、初回オリエンテーションの実施!!(フル稼働の土曜日です)

 

参加者たちにクラス説明や活動へのご賛同を頂戴しました。今年度はオリエンテーションの段階から2会場、同時スタートです。

 

①今年で14年目に突入する南部協働センターでの教室活動(ハロハロ教室・バヤニハン中区教室)

「毎週土曜日午後、南部協働センターに行けば、フィリピン人の相談にのってもらえる場所があるね!」をモットーに曜日・時間を変えずに継続してきました。今年度もよろしくお願いします。

 

 

②今年度から拡充!浜名協働センターでの教室活動(浜松市日本語教室「浜北区コース」・バヤニハン浜北教室)

HICE作成の「ひらがな・カタカナれんしゅうちょう」を使って勉強します。浜松市から1人1冊支給され、このクラスへ通うのをみなさん楽しみにしてくださいました。

(一瞬、マスクを外して撮影)

 

(久しぶりに託児を復活したところ、お母様たちの参加率が高まりました)

なお、浜名協働センターでの教室については、すでに定員に達しているので、締切とさせていただいていますが、生活相談などには随時対応します。また、秋以降の教室にはご案内できますので、お気軽にお問合せ下さい。

filipinonagkaisa@yahoo.co.jp

 

皆様。今年度も、よろしくお願い致しますm(__)m

 

NPO法人フィリピノナガイサスタッフ一同

 

浜名2期 終了しました(ご報告)

このたび10月23日に、「浜松市における地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」第2期が終了しました。今期はフィリピンの方はじめブラジル、中国、ドイツの方がご参加になりました。

ところで「生活者としての外国人」で、「ひらがな・カタカナに全く触れたことがありません」という方は、ほとんどいらっしゃいません。

生活の中で少なくてもご自身のお名前をカタカナで書く機会はあったと思いますし、日ごろの生活で日本語を目にしない日はないのではないかと思います(家の外へ出れば、日本語の文字があふれています)。

「ひらがな・カタカナの読み書きができるようになりたい」と考えている方は多いのですが、「自主学習する時間がない」「覚え方がわからない」ということから、ひらがな・カタカナを体得する機会を逸して現在に至る方や、「日本語レベルは初級だ」と、自他ともに思い込んでいるケースも少なくないように思います。

そうした背景に配慮しながら、「エクササイズ感覚」で文字学習のコツをつかめるような機会を提供しました。

下記、そのご報告です。

①五十音表の仕組みを理解しよう

「これまで自分で五十音を書いてみたことはある、五十音の順番も知っている」という方は多いのですが、次のポイントを抑えていないことで、ひらがな・カタカナを覚えられずに苦労している人が多いです。

・五十音は基本的に「子音+母音」の組みあわせであること。これに文字が当てられていること。(「ん」は特別)

・子音と母音の組み合わせだけど、サ行(S)とタ行(T)では、「し」「ち」「つ」の発音は注意が必要であること

・母語との比較から、アルファベットで覚えたい人も国によって音が違うので確認が必要

・拗音は「イの段+や・ゆ・よ」の組み合わせであること。これには皆、「へ~」と言っていました。この驚きの背景にはこれまで、あてもなく拗音を丸暗記していたことが伺えますので大変だったと思います。音と文字の仕組みを知ることで記憶の負担軽減になればと思います。

 

②文字を覚える

五十音の読み書きについては、ドリルにひたすら書き綴ることをしませんでした。先に五十音の文字カードを学習者自身がハサミでバラバラにして、それを順番に並べ替えました。(なお、この文字カードは自宅学習にも役立ててもらいました)

この作業の狙いは、自然と心の中で何度も「あいうえお、あいうえお…」「かきくけこ、かきくけこ…」と唱えながら並べ替えることで、母音の語順を身に付けられることでした。

行ごとに語順が理解できると、動詞Ⅰグループの活用変化を理解する際の助けにもつながっていきます。こうして、サバイバルで身に付けた日本語をいつでも整理できるような準備をする…、冒頭申し上げた「エクササイズ」という表現につながっていきます。

ところで、並べ替えができたということは、音と形が一致したということでもあります。ここで初めて、練習帳に文字を書き込んでいきました。練習帳は書き順が示されているのでそれに倣って書いていきます。

(浜松市作成「ひらがな・カタカナ練習帳」を使って)

各自の進度に合わせて、ひらがな・カタカナの五十音の文字の読み書きを進めていきました。

 

③特殊音との向き合い方

母語ではない日本語を学ぶ難しさの一つに特殊音の存在があります。「災害に関する語彙や表現」を使って、日本語の音の要である「拍」と文字の照合をしながら理解を深めていきました。

日本語教育ではよく、拍の理解を促すのに「教師が学習者とともに手をたたく」ということを行いますが、当法人はそれをしていません。この方法で実は混乱をしている学習者も少なくありませんし、教師の側も手をたたきながらしゃべるのは、意外と難しかったりしますね^^;

このクラスでは「ぼうさいくんれん、音はいくつありますか?」とクイズ形式で呼びかけ、これについて学習者が各々「4?」「6?」「8!?」と考えて答えるということをしてトレーニングしました。

「答えは8個です。8個にならなかった人は、どこか音が抜けてると思いますよ~。いっしょに数えてみましょう」と言いながら、指を折って数えました。

当たった、はずれた!の一喜一憂を皆さん、楽しんでいらっしゃいました。

母語干渉により発音が不得意な音もあって、そういうところは教師が説明するより先に学習者同士でアドバイスし合う様子が見られました。いろいろな国の人が集まって勉強するということは、色々な音の研究者が集まっているとも言えます。これは、教室活動の財産です♪

互いの努力を認め合い、こんなにも手を高く上げて相手を賞賛する場面もありました。温かいクラスの雰囲気にほっこりします。

 

④ディクテーションは、スマホを使って

ディクテーションは宿題にしました。講師がその日に学んだ語彙を音読し、生徒はその場でそれを録音(録画)して保存して帰りました。その音源を自宅で聞き、文字を書く練習をし、翌週の冒頭、みんなでボードに書いて確認しあいました。

(「あし」と言っています(笑)↓)

 

⑤自主学習について

学習者と教師がLINEでつながり、授業時間外もオススメのアプリや勉強法について共有し合いました。また、かわいいスタンプを送り、学習の進捗を学習者同士で励まし合うこともありました。こうしてともに時間を過ごすことは、国籍を超えた関係性構築にも寄与しました。

つなひろ」や国際交流基金の「ひらがな・カタカナメモリーヒント」などを共有しましたよ。

授業終盤では思い切って授業時間内に「自主学習」の機会を設けました。クイズを互いに出し合う人や、一人で時間を過ごす人など、様々な学習方法で最終回のテストに備えました。

 

⑥レアリアを読んでみました

実際に「広報はままつ10月号」の「やさしい日本語」のページを読んでみました。声に出して、「読める!」実感を楽しみました^^

広報浜松は多言語になっていることも情報提供しました。残念ながら、「広報はままつ」の存在を知っている人がお一人もいませんでした。教室活動の機会をとらえて、市民サービスを周知していくことも私たちの使命として忘れてはならないと改めて思った次第です。

 

⑦無事に終了しました!

みなさん、修了おめでとうございます。おつかれさまでした^^

浜松市委託としてはこの日で終了しましたが、来週からは当法人が文化庁より委託を受けて主催する「バヤニハン日本語教室(浜北クラス)」として続きます。

↓↓↓

また来週お会いしましょう!