ちょっと、今日のタイトルはいつもと趣向が違います^^;
9月になりました。
フィリピノナガイサでは平日、学齢期を超えた子どもたちが勉強しています。今日のように雨でも、みんな一生懸命がんばって通ってきています。
皆、今は学校に通っていませんが、来春、高校進学を目指しています。受験科目は志望校により少し違いますが、共通しているのは「面接・作文」です。
この2つは話すか書くかというアウトプットの手法の違いこそあれど、「自分を語るもの」という点では違いがありません。
「そろそろ受験準備を始めないとね」ということで、総合学習では「人生設計」をチャートシートに書き込んだばかり。(21-8-25 人生設計)
今日はそれを見て、
①書いてみてどうだった?
②この中から今日は1つだけ選んで、もう少し詳しく聞かせて~
と言って、講師やクラスの仲間と会話をしながら、チャートを深堀しました。(金曜日は会話クラスなので)
「日本語教室」として考えると、「がんばって日本語で話して」となるのが一般的なのでしょうが、私たちのクラスでは「まず、自分の言葉で話してみて」と言います。それでもためらっている生徒には、「タガログ語でも英語でも、ビサヤ語でもいいよ」と背中を押します。通訳者もいますしね。
さて、①「チャートを書いてみてどうだった?」の問いに、子どもたち、何と答えたと思いますか?
ー初めて書いた~
ー書くとき、たくさん考えた。
といったことでした。
そっか、すごくたくさん考えたから、こんなにたくさん書けたんだね^^
(年齢ごとに落とし込んで、やりたいことを所狭しと書いています)
次に②「たくさん書いた中で、今日は1つだけ決めて、もう少し詳しく聞かせて」と聞いてみました。
子どもたちは、自分たちの書いた(描いた)将来から、それぞれ、こんなことを選びましたよ。
例えば、「家族のために家を建てたい」と言った子と講師の会話はこんな感じ。
◆どうして、これを選んだの?
◇家族と約束したから!
◆へ~、●●さんの家族はどんな家族なの?
◇…
◆その約束を守るために、やっていることはある?
◇勉強
◆勉強は何をしているの?
◇毎日、日本語の勉強を復習している
◆毎日?
◇毎日、夜、このクラスの復習や新しい勉強をしている
◆そんなに、がんばっていたんだね!その様子を見て、家族は何か言っている?
◇応援してくれている
◆家族が応援してくれて、どんな気持ち?
◇うれしい
◆それは、うれしいよね~。家を建てようと思うと、お金がかかると思うけど、どうしたらいいのかな?
◇勉強してビジネススクールを卒業して、仕事して、お金貯めたい。
◆できそう?
◇家族と約束したから、出来ると思う
◆そっか、●●さんが頑張れるのは、「家族がいるから」なんだね。応援してるね!!
◇ありがとうございます。
・・・
ところどころ日本語で、でも直接やり取りできないところは通訳者がサポートしてくれました。
こういう会話を数名の生徒と繰り返したところ、ある生徒から突然、
「先生、inspirationは日本語で何ですか?」と聞かれました。
はて、インスピレーション…
「ひらめき」かな???
通訳がすぐに助けてくれて、
「うーん。たぶん、彼女の言っているのはそうじゃないと思う。motivationに近い意味かなぁ。家族がmotivationっていうことを言いたいんだと思う」
なるほど。
しかし、motivationはモチベーション^^;
これ、翻訳すると何だろう???
すぐに別の生徒が辞書を引いて、
「どうき?!」とフォローしてくれました。
そうだ、「動機」だ!!
今度は、別の子が「ドウキ?」と言っている。それで通訳者が「原動力でもいいんじゃない?」とフォローして^^
やがて、クラスには「動機」と「原動力」の渦が(笑)みんなで授業をすると、こういう化学反応が起きていいですね!
どこかのタイミングで教師が提示しなければと思っていた受験に必要な語彙が、それを待たずに自然と沸き起こる。というか、これはすでに子どもたちが言いたいことを持っているということだとも思うのです。言い方がわからないだけで。
さらにこのクラスは、「動機」の「機」とは何か?について、話が発展して。
「機械」の「機」なんじゃないか!
いや「機会」の「機」なんじゃないか!?
正解は「機会」なんだけど、「機会」ってなんだろうね?ということから、今度は「きっかけ」という新しい言葉を提示するタイミングを得ました。
そう、「きっかけ」という語彙も面接では必須語彙なのです。
ー本校を受験したきっかけは何ですか?
ー来日したきっかけは何ですか?
聞かれそうですよね。
・・・
今日はみなさんの自己理解を深め、自己効力感を高めて受験に挑めるように授業を展開しました。それと、受験勉強期間は心が折れそうなときもある。仲間は必要!
友だちの話を聞いて、「へ~、そんな考えを持っていたんだね」という他者理解を深める時間でもあったとしたら、うれしいです^^
会話は意思疎通なので、レベル差があっても場が機能することを目指しているというのもあり、あえてレベル分けせず通訳者に助けてもらいながらみんなでいっしょに勉強しています。
さて、今日の宿題は
①今日話したことを忘れないよう、自分の言葉で日記を書く。
②余裕があったら、書いた日記をスマホで日本語に翻訳してみる。
今日のまとめが、来週どのように皆さんの記録として書きまとめられているのか、楽しみです。会話はすぐに流れてしまいますが、文章にすると何度でもそれを磨いて反芻できます。これは作文を書くことにもつながっていく力です。
受験日まで、そうやって言葉を磨いていきましょう。
大丈夫!先輩たちが同じようにして卒業していきましたよ^^