今週は満開の桜の下うれしそうに写真を撮る新入生や保護者の姿を街のあちこちで見かけました。おめでとうございます! 実り多い学校生活にしてくださいね。

毎年、ナガイサの教室からもたくさんの子供たちが高校に進学します。今年は15名が高校に進学できました。ナガイサが就学支援をしている子供たちは、日本に既に定住している親から呼び寄せられて来日直後に受検を迎える子供たちです。彼らにとって静岡県の高校受検はかなり厳しい状況だといえます。ほとんどの高校は日本語による5教科受検ですので、彼らが現実的に合格できる可能性があるのは、来日後3年以内の者を対象とした県立全日制高校の「外国人特別選抜枠」と県立の定時制高校です。面接と作文試験だけで受検できるからです。(「外国人特別選抜枠」には日本語力や数学なども少し含まれます)

しかしながら、現在の状況は、1900人もの外国ルーツの児童生徒が小中学校で学び、毎年たくさんの16歳から19歳の若者が呼び寄せで来日する浜松市の実情からはかなりかけ離れたものです。市内の県立高校の「外国人特別選抜枠」は十分に数があるとは言えません。さらに制度としては枠があっても、日本語での学校生活や一斉授業に困難があるのであれば受検を控えてほしいと意思表示をする学校もあります。毎年受け入れ実績のある学校もあくまで「若干名」。一方で近年実質的な受け皿となっている定時制高校でも、入学後の支援の難しさや支援員の不足から、定員を割っていても面接・作文試験の際の日本語力で合否を決定するのが現状です。ここ数年は、高校に行きたいと努力したにもかかわらず、残念ながら不合格となり涙をのむ生徒が毎年います。もう一年がんばって次の年の試験に向かう子もいますが、その道は長く険しいものです。アルバイトや派遣での仕事につきそのまま進学をあきらめるケースが多いのが現実です。
コミュニケーションもままならない生徒たちを多数抱える学校の先生たちのご苦労は本当に理解ができます。(ナガイサの教室も毎日わちゃわちゃやってますから!笑)

でも、大事なのはこの若者たちは、決して一時的に日本に、浜松に滞在するのではないということです。多感な十代半ばで異国へ移住をし、これから浜松で育ち、仕事をし、結婚や出産をして次世代を育て、いつかは老いていく地域の一員です。「日本人」の中学校卒業時の進学率がほぼ100%という社会の中で、「いま日本語ができないから」という理由で日本社会での所属先を失い、学びの道を断たれるというのは、本人はもちろん地域社会にとっても不幸なことではないでしょうか。
外国ルーツの子供たちが地域の一員だという認識に立って、既存の日本の教育現場や制度を見直すときに来ているのではないかと痛切に思います。