9月23日 人材養成講座「ニーズ分析」「キャリア支援」をテーマに、二本立てで

9月23日(木)日本語教育を行う人材の養成・研修講座(文化庁委託)の3・4回目を実施しました。講師は静岡県立大学国際関係学部の高畑幸教授です。

事前に先生には、講座の前半と後半の内容がゆるやかにつながるよう、構成をお願いしておりました。

 

①前半「人口動態から『生活者としての外国人』のニーズ分析を行い、実践的な活動の連動について考えよう」

先生から、おもにフィリピン人特有の来日状況や在留資格、労働・婚姻・人口動態などについてお話いただき、レディネスへの理解を深めました。

また、実際の調査事例(令和元年度静岡県における地域日本語教育実態調査)についても伺い、日本語学習のニーズを探りました。

これらのニーズとレディネスから、

★フィリピン人に特有の支援ニーズは何か?

★どのような日本語教室なら、これまで学べなかった(学びづらかった)人たちも学べるようになると考えるか

をグループディスカッションで熱く語り、皆で考えました。

そして、それぞれのグループで話した内容をチャットに書いて共有していただきました(下記、一部)

ー データを見て、フィリピンの母子家庭が多いと気づいた。 日本人男性と離婚後、子育てしながら働かなくてはいけないとなると、日本語を勉強する時間がないのではないか。

ー50代の女性が多い。フィリピン人特有の支援ニーズはお子さんの教育関係、
介護問題(配偶者の親、本人の親である場合は呼び寄せるのか・帰国するのか)
日本の制度、年金、老後の備え、更年期の体の問題、疾病、医療保険が考えられる。金銭的に苦労されているので、お子さんの進学については奨学金情報があるとよいのではないか。

ー定住・永住者だけど読み書きが苦手

ー子供が小さいと、夜の教室には参加しづらいのではないか。無料で託児があればよいのではないか。

―母親に向けて情報を届けるシステムが必要

ー母子世帯のニーズとしては、学校や災害時の情報を得ることではないか。コロナに関する公的な情報を得ることも必要がある。また、子どものオンライン支援も必要であろう。

一子育てが一段落した世代は、フィリピンで大学を出ているが、日本では工場で働いているケースも多い。今後、キャリアを生かして仕事に就くには、読み書きを含めた日本語習得の支援が必要である。

ー50代に差し掛かると、読み書きの獲得は大変ではないか。子育て世代には日本で必要な制度情報を伝える必要が有る。相互扶助の場所を行政が援助してあげるとよい。

ー散在地域では、オンラインを活用できるといい

ーいろいろな国の人と接する機会があるといい。 日本語だけでなく、花見や料理教室といった交流も大事。こういうところに親子で参加できるともっとよい。

ー個々のレベルに寄り添いたいが、ボランティアの人数は限られているのでレベル分けが必要

―ボランティアができる教室の時間帯と、生徒の希望する時間が合わないときは、授業の録画配信も良いのではないか。

ー子ども連れでの参加OKにするとよいと思う。

ーオンラインにすると赤ちゃんがいても参加しやすい。

ー礼拝の後に日本語教室を開催する。 外国人のライフスタイルにあわせて、必要な日本語を提供できる教室があるといい。

ー職場で日本語教室があればいい

―集住地区に教室を設置する

ー外国人と日本人を分けず、同じ目的の教室を展開する。「ファミリー向け」「若者向け」「高齢者向け」など

ーイベントを入り口に学習に繋げる。

ー図書館などの公有財産を使用できるよう働きかけ、様々な人が集う場所づくりをすることが有効ではないか

ー自己効力感が感じられる場が大事

 

…以上、皆さんからのコメントを先生に読み上げていただきながら、共有したのですが、地域日本語教室の展開・アイディアのバリエーションは以前と比べるとすごく広がったと思いませんか?!「どのような日本語教室がよいと考えられますか」という問いに対して、「この教科書を使うといいのではないか」というご意見が一つもなかったのです。全国の地域日本語教室に関わる皆様は様々に努力、工夫され、学習者のニーズに向き合っていらっしゃるのだと知りました。

***

②後半「『生活者としての外国人』のキャリア支援について考えを深めよう」では、2017年に高畑先生と当法人で協働実施した「定住外国人の生活と雇用に関する調査」から、キャリア支援にまつわる外国人側と企業側のニーズ・課題をおさらいしました。

当法人代表理事・松本からは、この調査を実施した背景として、定住外国人にもキャリア支援(リカレント教育)を広げたかったという思いと、その後、調査結果を参考に実施している職業訓練の現状と課題について、足掛け5年にわたる苦悩をお話申し上げました。

 

後半もグループディスカッションの時間を設けました。議題は、「あなたが住んでいる場所で定住外国人を対象にキャリア支援をするとしたら、どの世代を対象に、どの職種に向けた職業訓練をしますか?」

ふたたび、皆さんから「キャリアとは何か」というご意見やキャリア支援のアイディアをチャットにお寄せいただきました。(下記、一例)

 

―香川県です。アルバイトでは総菜、お弁当が多い。

ー千葉県です。農業、農繁期に人手不足。季節によって繁忙期が違うので、農産物によって働く場所を変える。

ー浜松です。労働力が足りていない工場が多いので、技能実習生や派遣で働く人が多い。

ーバックグラウンド、エスニシティ、在留資格によってキャリア形成へのモチベーションも切迫感も異なる。長期的なスキル開発よりも今の稼ぎが死活問題の人も多い。モデルケースと合わせて、日本の制度や現状をきちんと開示した上で、それぞれにキャリアを選択してもらいたい。必ずしも正社員を目指す必要はなく、選んだ道でより良く生きられるための助力は惜しむべきではない。

ー派遣で働きながら専門性やパソコン作業の基本を身に着けてどこでも働けるスキルを身につける。

ー先に日本に定住している外国人が生活・車免許・住宅取得等のサポートをすると、それが新たな仕事になる。

ー学び直しの際ビジネス日本語は必須。

ーパソコン技術も必要

ー(母語話者の先輩として) 介護や保育の現場でも活躍の場があると思う。若い世代が、親や親せきのついている職業だけでなく、様々な職業があることを知ることが必要だ。 日本で生まれ日本で育つ子ども世代は、地元に残る可能性が高いので、地元企業と協働して、職場見学や職場体験、インターンシップ等を実施して、雇用につながったらよいのではないか。 キャリア教育を通して、子どもの学習意欲向上や進学へのモチベーションも変わってくると思う。

ー子供世代にキャリア形成の情報は必要。親世代は今の仕事で精一杯だと思うので。

…このように皆さんのご意見を伺い、9月20日に行われた講座で「移民受入れから統合までは、世代をまたいでゆるやかに築かれるものだ」というお話があったことを思い出し、2日間かけて実施した本シリーズ講座が重なり合いました。一世の方のライフキャリアとして、その人らしい生き方は尊重されるべきであるし、その方々が子どもの教育のために一生懸命働くわけだけど、社会としてもその子どもたち世代をしっかり教育していくべきではないか。

そう考えますと「キャリア」とは、職業という捉え方だけでなく、生き方や継承という見方もできるのかもしれません。地域日本語教室では学習者と家族単位でのお付き合いになりますので、考えていきたいですね。

全国の方々と一緒に考えると、こんなにもたくさんのアイディアやマインドセットの視点が出てくるのかと、ご参加いただいた皆様に感謝しきりです。

本シリーズ講座、次回は10月31日(日)になります♪

Maraming salamat po.

みなさん、いい笑顔です^^