「やさしい日本語」のわかりやすさの「たしかめ」を日本語学習教材に取り入れました

日本に暮らす外国人が年々増えており、そうした人たちのうち「英語よりも日本語のほうがわかりやすいこともある」というのが、少しずつ知られるようになりました。当法人でも公開講座や本HPを通じて周知しているところです。

ただ、その時に使う日本語は、少しコツや工夫が必要です。これを「やさしい日本語」と言います。

今夏、法務省「やさしい日本語ガイドライン」が制定されたことも記憶に新しいことです。

ごく最近では東京都の小池百合子知事が、コロナウィルス感染拡大防止のための啓発動画を「やさしい日本語」で出しましたが、みなさんご存じでしょうか。(こちら

日本語教師としては、これ、大変わかりやすいと感じました。その理由は、

★「やさしい日本語」の原則でもある”はさみの法則”が使われている

★ジェスチャーが適宜ついている

…でも、「やさしい日本語の情報発信」の中でも都知事の動画は「わかりやすさ」が桁外れだなと思いました。

もしかして!話し言葉特有の「フィラー(言い淀み)がない」から?この点は、「情報提供」をする際、とくに意識されたい点ですね。

・・・と思うのは日本語教室運営者(日本人)としての気づきなのですが、一方で実際に「みんなは、どうなのか?」を確かめることも大事だと思いました。

というわけで、さっそく動画を授業(日本語レベルは初級ほど)での教材として取り扱いました。「確かめ」の方法は次のようにしました。

①視聴した後、会話教材として

②スクリプト(UDフォント)を作成し、読解問題として。

さて、このスクリプトを読みながら「浜松市の新しい生活様式(やさしい日本語版)」から、文章に合うピクトグラムを探しましょう~

「マスク」「手を洗う」は完璧!「人と人との間をできるだけあける」と「離れる」については、「できるだけ」や「離れる」といった意味が難しい様子。”2m”を手掛かりにして!と補足して、わかったみたいです。「正面を避ける」と「人と近くで話さない」の状況はほぼ同じ(似ている)というのもイメージがわかないようでした。「正面を避ける」がちょっと、難しいのかも。

実際には自治体が違うので、注意喚起の内容(呼びかけ)がピタリと合わない部分もあり、そこは会話でカバーしたかったのですが、初級クラスではそのあたりの微妙なニュアンスの違いを捉えて会話に発展させるのは難しいので、もう少し上のクラスへお預けです。

コロナに関する情報に限らず、これまでも公的機関から様々に工夫されて生活に必要な情報提供は続いてきたわけですが、本人たちに届いていかなければあまり意味がありません。教室で取り扱う意義はありそうです。

また、「使ってみてどうだったか?」を関係機関にフィードバックして、よりよいものに改善されていく必要もあります。引き続き、生活に即したレアリア教材を見つけていきたいと思います。

と、ここまで書いたことと真逆ではあるものの大事なご報告!

実際には東京都のこちらの動画は「英語」でも、そして!!「タガログ語」でも発信されています。そのほかの言語も出ていますが、これは東京都が各国の大使館に動画のシェアの協力をお願いをしたそうです(本日昼の都知事会見より)

フィリピンの方に限って言えば、「情報発信」を届けるためのキーワードは「大使館」「動画」です。この記事を書いている今現在、動画再生数もやさしい日本語版よりもタガログ語版が圧倒的に多くなってることがわかります。このことから、フィリピン大使館のご協力は大変大きいものだったのではないかと思われます。

10,647回視聴・2020/11/13 
1672回視聴・2020/11/12

私たちも海外へ行ったら、まずは日本の外務省や大使館といった情報を探すことで安心できるということはありますね。グローバル社会においては国レベルでの交流、協力がますます必要な時代になっています。